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「窓枠」内側からと外側から

2019.07.31

「窓枠」内側

7月末、外からはセミの鳴き声が響いてきます。
我が家のリビングルームの窓からの風景です。

上海の旧フランス租界地にある老房子(ラオファンズ:古い洋館)を借りて住んでいます。
この物件を探す際の条件は、「窓枠が当時のままのデザインであることと、その窓から緑が見えること。」

それくらい、私にとって、窓の存在は大きなもの。
今まで何度もお引っ越しをしてきましたが、それぞれの家を思い出すと必ず出てくるシーンが、窓とその向こう側の風景。当時、その窓を眺めていた自分の淡い気持ちと共に、その懐かしい情景が蘇ります。

老房子の窓枠は、もちろん現代のアルミサッシのような高機密高断熱の機能はないけれど、デザイナーや職人さん達の手作りの痕跡が残っていて、ほっと心が和み、日々の暮らしを丁寧に楽しもう、そう思わせてくれます。

まさに、フランス語の「Art de Vivre」(アール・ド・ヴィーブル)、日々の生活の中に大きな歓びを見出すこと、”暮らしの芸術”への観念が、この窓枠にも残っていると感じるのです。

「窓枠」外側_1

旧フランス租界地を歩いていると、様々な個性的で美しいロートアイアンの窓枠が目を楽しませてくれます。
こういった素敵な窓の内側の生活を覗いてみたくなるのは、窓枠のデザインに物語を感じるからではないでしょうか。

作り手も使い手もデザインを楽しみ慈しむこと、それが魅力的な街作りの基盤になる、
ここフランス租界地で暮らしているとそう感じられます。

「窓枠」外側_2

月夜に見つけた、シノワズリーテイストの可愛いらしい窓枠。

急いで帰宅しようと自転車を走らせていた時に見つけて、立ち止まってから携帯電話で写真をパチャリ。

お陰で月が綺麗な夜だと気づきました。

窓からこぼれる灯りに、日々を暮らす人々の気配を感じて、なんだか温かい気持ちになり、
やっぱりこの界隈の町並みが好きだなぁと一人胸をときめかせていました。